去年の話だ。
とある日。

このシーズンは一年の一番最後で一番忙しい時期にやってくる。
でも嬉しいイベントだ。

オレタチハマダツカエル祭…
祭という名の忘年会だ。

仕事を終わらせて待ち合わせの場所に急いでいた。

しかし…これはナンセンスだ。
やはり時期が時期だ。
駅前の有料の駐車場はどこもかしこもいっぱいだった。
俺はいつもは使わないが場所が分かる程度の駐車場に行ってみるとちょうど空いていたのでそのまま入ることにした。

寒空の下、スーツを脱ぎ、ネクタイを外して上着だけを私服へチェンジし、
合流しようと飲み屋へ。
やはり時期が時期。
相当店内はごったがえしていて
店員も忙しそうにどたばたしていた。店に入っていくと大抵は用件を聞いてくれたり、今満席でお待ち下さいという旨を伝えにくると思う。だが、入り口にたまっていた別のお客さんのグループのメンバーだと見られてしまったらしい。仕方なく待っている人々の間をかき分け、ずかずかと客席の方へ入っていく形となった。

「合流するメンバーの席はどこだろう。」そんなことを思いながら探した。

そうすると聞き慣れたメンバーの声。意外と入り口から近いところに奴らは陣取っていた。


「出迎えがねえぞ!」

という自分的には店の人の出迎えが
なかったのが胸に残っていてそれを
口に出していったつもりだったのだが
あいにく言葉足らずだった。
入り口で一人くらい迎えに来てくれよということみたいなやつにメンバーにはつたわってしまったらしい。

それはどうやらツボだったようで何故か俺は爆笑された。
まあ、笑いがあるのはいいことだ…きっと。
そのあとは乾杯から
雑談、仕事の相談をしたり、愚痴を言いまくったり、懐かしい映像を見たりしていた。愉快だった。

料理もひとしきり食べ終え、
オレタチは祭のファイナルステージへ。
始まりはゆるやかにスタートした
ファイナルステージ(カラオケ)。

オレタチは密かに胸の中に待ち望んでいたと思う。
それぞれのメンバー
「かむにい」が勝手にしやがるタイミングを。
「ルーニー」が必殺こいてバイトして東南アジア、インドへ行くのを。
「くに」がエーーックスとシャウトするのを。
「へそ」がもう何があっても挫けないのを。
全員でファイナルフュージョンを承認したり、easy come, easy goを合唱したり、メビウスの宇宙(そら)を越えるのを。
でも少し、そこには足りなくなってしまったものがあること。
何か虚無感みたいなものがあった。



2015年。
振り返ってみると、
俺たちの中には大切な人を見つけて結ばれたヤツもいるので大事で記念すべき年になる。
しかし、同時に俺たちは大切な人を失った年でもあった。

今でも忘れられない天国に逝った例のアイツだ。
オレタチハマダツカエル祭のメンバーで、大学の頃に知り合い、大学時代はほぼほぼ一緒にいたといっても過言ではない相方だ。

「アイツだったら~…」的な話で
逝っても尚、話の中に登場するのは
彼がメンバーでも大切だった証。
生きた証だったんじゃないかなと
俺は思っていた。

時間は止まらない。
時間は過ぎていく。
だからオレタチも立ち止まらないし、立ち止まることも許されない。
・・・こうして逃げ場がないセカイでオレタチはずっと走り続ける、生き抜いていく。
自分たちの限界のボーダーを越えて。
アイツの分もな。

そんなことを思いながら過ごした今回の祭だった。


少し暗い話になってしまったが、オレハマダツカエルって思いながら今年も一年健やかにすごせたらと切に願う。